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<藤心地区の取り組み> その7:民生委員活動から地区防災へ


パネルディスカッション地区関係組織を集めて行ったパネルディスカッション。市のK-Net担当者や逆井中学校校長、地区社協会長のほか、地区民児協防災担当者、町会代表者もパネラーとして参加した。

(地区防災ネットワークへ)
 藤心地区民児協は、指定民児協の助成初年度である平成19年の1年間で、要援護者台帳や防災福祉マップなどの下地を作り終え、2年目に入ると、徐々に民生委員独自活動から地区防災活動への移行準備に入る。くしくも、K-Netが全市挙げての本格始動に移る時期と重なることになった。
 その手始めに、平成20年8月、地区社協との共催で「災害に強い藤心地域を目指して」と題したパネルディスカッションを開催した。この会には、市のK-Net担当者や、避難所となる逆井中学校校長、地区社協会長、逆井町会藤部防災部長等をパネラーに迎え、これまでの民生委員活動の成果・報告や、今後の藤心地区防災の在り方について意見交換が行なわれた。そして、地区防災に関わる町会・自治会長や福祉団体関係者など100名余りの参加者と、今後のK-Netへの具体的な移行手順について話し合いが行なわれた。

 この討議を受けて、翌9月から行われたのは、これまで藤心地区民児協が作成した要援護者調査表からK-Net用要援護者登録申請書への名簿移行作業だった。この2つの書類項目には、それほど差はないため、民生委員の手でその作業を行うことはそれほど難しいものではなかった。ただ、今後地区として防災活動に取り組むには、この作業をどうしても町会・自治会を通して行う必要があったのだ。
 そのため、地区社協と連名で、町会・自治会長宛に、この作業を依頼することになる。これまで民生委員が集めた要援護者数は300件(下記※)。この情報を、町会・自治会毎に分け、その要援護者名簿を町会・自治会長に提供した。そして、担当区域の民生委員と、対象者宅一軒一軒に訪問し、K-Netへの移行説明とK-Net要援護者登録申請書への署名をお願いして回ることになった。

 こうして集めた要援護者申請書は、各町会・自治会で取りまとめられ、K-Net事務局へ提出後、再び地区に戻って来ることになる(K-Netの流れはこちら)。平成21年7月現在では、この移行作業によって、300名の要援護者のうち、200名の移行作業が終了したということだ。残りの100名については、ひとり暮らしだが健康で避難場所までの移動にも問題はないため、K-Net要援護対象者からは外した。しかし、民生委員による見守り支援は継続し、災害時にはK-Net移行者よりも優先的に支援を行うことにしている。


(K-netと藤心地区防災)
 ただ、こうしたK-Netへの移行段階において、藤心地区では次の3点において、地区独自の支援体制を築いていくことになる。K-Netでは、町会・自治会で組織される自主防災組織を、地区防災の中枢に据え、小規模圏域の防災体制を築くとしている。市内279ある町会・自治会それぞれに自主防災組織の設立を目指しているわけだ。しかし、藤心地区では、自主防災組織の代わりに、町会・自治会の連合組織である「ふるさと協議会(下記Q&A)」を、地区防災の中枢に据えようとしている。

 なぜ、自主防災組織ではないのか。このことについて、ふるさと協議会副会長(地区社協会長)である松村征典さんは「藤心地区に町会・自治会は15あります。そのうち、自主防災組織が組織されているのは10。残りの5町会・自治会には、自主防災組織が設置されていないのです。この地域を除いてしまっては、とても地区防災とは言えない。ふるさと協議会を基盤とすれば、自主防災組織の有無を問わず、統一的な防災活動を行うことができるのです」と話す。
 今後、この協議会を中枢に据えることに決定した場合、藤心地区ではK-Netから提供される要援護者情報についても、直接町会・自治会に降りることはなく、一旦地区内の全データがふるさと協議会会長の手元に渡り、そこから町会・自治会ごとに対象となる名簿が渡されることになる。この9月にも、ふるさと協議会と町会とにおいて、個人情報の取り扱いに関する契約を交わし、こうした流れに移る予定でいる。

 支援者による見守り支援方法についても、地区の状況に即した体制を整えようとしている。当初、藤心地区民児協では、K-Netと同様に、要支援者一人につき、特定の支援者をつけることにしていた。しかし、パネルディスカッションやその後の検討の結果、災害時において支援者が被災し得ることを想定し、より災害時に即した支援体制を整備していこうということになった。そして、今年の9月以降には、町会・自治会内にある班単位での要援護者見守り支援体制を敷き、災害時においては被災の程度が少なく、支援可能な者が要援護者の避難誘導等の支援を行っていくことになりそうだ。

逆井中学校外観市指定避難場所の逆井中学校(上)と濱田校長先生(下)。その他、藤心小、逆井小、増尾西小、柏陵高校の4ヶ所が市指定避難場所となっている。

逆井中学校の濱田校長先生 市指定避難場所の逆井中学校。この他、地区内には藤心小、逆井小、増尾西小、柏陵高校の4ヶ所が市指定避難場所となっている。

(避難所との連携)
 この地区防災ネットワークには、避難所である小中学校との連携も欠かせない。藤心地区民児協では、活動当初から小中学校と、災害時における受け入れ支援体制について協議を重ねてきた。なかでも、地域避難所の核となる逆井中学校とは、日頃から「子どもは地域全体で育てる」という意識のもと、学校と民生委員が常に連携を図ってきた。災害時対応についても、職員不在時に備えて、学校のマスターキーを地域協力者にあらかじめ渡しておくなど、すでに実践的な取り組みがなされている。
 災害が発生した際、この避難所には乳幼児から高齢者まで様々な世代が来場し、多様な支援が必要とされる。その中には、医療に導かなければならない支援も当然想定される。これに対し、藤心地区では、在宅支援センターへスタッフを避難所に常駐させてくれるよう依頼しており、避難所支援の充実を図っているところだ。

 このように、藤心地区では災害を想定したより実践的な支援体制を築こうとしている。今後は、ふるさと協議会が主体となって、地区全体で共通の災害対応マニュアルや防災福祉マップの共有化を進め、それを用いたより実践的な防災訓練を行う予定でいる。
 ふるさと協議会の松村副会長は、これまでの民生委員活動について「住宅調査や要援護者調査といった、地道な活動の積み重ねで獲得したデータがあったからこそ、地区全体で話す場を持つことができ、ふるさと協議会を中心としたK-Net体制へと繋ぐことができました」と話す。「足を使う」ことで、住民の一番近い相談相手として、長年地域福祉のために尽くしてきた、その積み重ねがあったからこそ、この成果が生まれたのだろう。
 武井会長は「今後も、ふるさと協議会の一員として、民生委員ができることを行っていきたい」と話す。声かけ訪問時を使った要援護者情報の更新や防災安全マップの整備、見守り支援と、まだまだ民生委員の果たすべき役割は多い。しかし、そう遠くない日に「災害に強い藤心地区」の姿を見ることができることだろう。


(※)平成21年4月より、民生委員には障害者名簿も提供されることになった。この障害者情報は、事前にK-Net事務局が市内に居住する障害者へ、K-Net要援護者登録の働きかけを行い、同意を得た方のみの名簿になる。藤心地区内の対象者は40〜50名おり、地区内総要援護者数は340〜350ほどになる。

Q.ふるさと協議会とは?
Anser:柏市独自の地区組織の名称で、現在市内に20あるコミュニティエリアごとに組織されている。この協議会は、昭和55年に住民の相互扶助活動を行う団体として、中学校区を基盤に設置され、民児協や社協などの福祉団体ほか、町会・自治会で構成されている。その活動内容は、地区の福祉課題に取り組む民児協や社協よりも広範にわたり、「自分たちの住みよい街づくりを市民の手で」行うこととされており、福祉部やボランティア部、防災安全部をはじめ、いくつかの部が設置されている。今後は、この防災安全部で、地区の防災方針等を定めていくことになるようだ。




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   指定民児協の活動内容

   柏市防災福祉K-Net
    その1:柏市防災福祉K-Netとは?
    その2:町会と民生委員の役割
    その3:K-Net確立に向けて

   柏市藤心地区の取り組み
    その4:藤心民児協発「災害時一人も見逃さない運動」
    その5:地域の再確認
    その6:民生委員行動マニュアルと防災福祉マップ
    その7:民生委員から地区防災へ
    その8:今、できること