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 本コーナーの第2弾は、合同会社泉惠造研修企画工房代表社員の泉惠造氏に、民生委員活動についてお話を伺いました。

※本原稿は、定例会向け研修資料「ひだまり」の掲載原稿の抜粋です。「ひだまり」には、その他ワークシート等を掲載しておりますので、ご覧になりたい方は、下記URL掲載のデータをご覧ください。http://www.chiba-minkyo.or.jp/minseiroom/minseiroom-magazine.html




泉惠造さんに聴く!民生委員活動


 福祉に関する研修の企画・実施を行う「合同会社 泉惠造研修企画工房」。代表社 員である泉惠造さんは、昨年5月の工房設立以来、全国各地の団体職員や民生 委員向け研修、住民懇談会などに携わり、その企画・実施ばかりではなく、講 師やコーディネーターとして幅広く活躍されています。地域も違えば、果たす べき役割も違う相手に、どのような姿勢で研修に臨んでいるのでしょうか。そ して、各地の民児協研修に携わる中で、いま民生委員に必要となるものとは…?


笑顔

泉惠造氏
「合同会社泉惠造研修企画工房」代表社員の泉惠造さん。(平成23年6月2日・取材・撮影)

 泉さんと研修との出会いは、全社協時代、神奈川県葉山町にある中央福祉学院(通称:「ロフォス湘南」)という研修部門に配属された時に始まります。7年間の配属期間のうち、対象者 の設定からプログラム作り、講師の選定等の下準備、当日の実施・運営に至る研修のイロハを学んだといいます。
 また、そうした一つひとつの工程を 丁寧に積み上げていった先に、一つの出会いがあったといいます。
 「研修初日には、緊張と不安の面持ちだった受講者が、日を追うごとに表情が変化していき、最終日には笑顔で帰っていくんです。毎回、受講者を見 送る時に見るその” 笑顔” がたまらなく好きでしたね」
 研修会終了後、受講者から垣間見えるどこか充足感のある笑顔。この笑顔が、泉さんを研修に惹きつけ、工房設立へとつなげていったのかもしれませ ん。では、工房の行う研修とは、どのようなものなのでしょうか。




考える

工房の理念
研修に対する “こだわり” と “いつくしみ” を忘れません

お客様の職場にマッチした “オーダーメイド研修” を提案します

お客様と共に悩み、共に創り、共に喜びを分かち合える“研修パー トナー” であり続けます

 研修を企画する際、実施者は地域特性を理解した上で、「どのように長所を伸ばすか、短所を補うか」といったことを念頭に進めていきます。ただ、内部からはそうした点が見えづらいことや、担当者の時間的制約、 福祉への習熟度によっては難しいことがあります。
 また、その整理がつかないまま、実施ありきで開催してしまうと、受講者にとっても意図が不明瞭で、ありきたりな研修になってしまうことがあります。
 そうしたボタンのかけ違いをなおし、実施者と受講者双方の思いを紡ぐのが、この「工房」です。
 研修会では、参加した民生委員は皆同じことを学びます。大切なことは、そこから学んだものをどのようにご自身の地域で活かしていくかというところです。  担当地区に応じて、地域資源(人・モノ・団体)も違えば、そのつながりの持ち方も大きく異なります。全く同じ活動を行っていても、うまく連携が取れているところもあれば、連携が取りづらいところもあるか と思います。
 研修内容を担当地区の活動に活かし、そこでの民生委員の立ち位置や役割を考えていくのは、実は委員個人にしかできない作業なのです。
 工房の研修をひと言でいえば、「考える」研修です。泉さんの研修では、設定されたテーマについて、いくつかのステップを踏みながら「どのように地域へとつないでいくのか」、講義やグループワーク等を通して一人ひとりが考えていきます。
 泉さんは、「このステップを通して、必ず答えを出す必要はありません」と、あくまで大切なのは「考える」プロセスだといいます。
 また、「私の役割は、皆さんが考える“きっかけ” をお渡しすることです」と、講師は受講者の背中を押すサポート役だと話します。それは、一つのものでも様々な捉え方があること、皆さんの周囲にあったり自身が備えているけれど気づかないところに、ライトを当てることです。泉さんは、皆さんが地域とつながるためのいろいろな「視点」を提供しているといえるかもしれません。
 担当地区における民生委員の立ち位置や役割を「考える」ためにも、いろいろな視点で地域のことを見つめてみることが大切です。
 泉さんは、この視点の持ち方次第で、皆さんの活動しやすい環境づくりにもつながるといいます。その視点の持ち方〜リフレーミングと加点法〜を教えていただきました。




メガネ

 私たちは、生まれ育った環境やその後の社会経験な ど、様々なところから影響を受けて、自分独自の視点 を育んできました。そして、無意識のうちに何事もこ の視点に当てはめて判断をしています。
 同じ出来ごとを経験しても、楽観的な人や悲観的な 人、とりあえず行動に移す人や慎重な人など、委員に よってその視点には大きな違いがあるかと思います。
 こうした自分独自の見方を少し脇において、別の角 度から物事を捉えなおすことを、「リフレーミング」と いいます。その時、ポジティブに捉え直してみること がポイントになります。

泉惠造氏

 この方法は、人やモノ、活動などあらゆることに活 用できます。例えば、人の性格について「あなたは気 が短いですね」と言われた場合、言われた方は決して 気分がよくないものです。これを、「決定が早いですね」 「行動が早いですね」とすると、受け手の印象はがらり と変わります。
 また、民生委員活動にも当てはめてみると、例えば「サ ロンに、毎回同じ参加者が5組しか来ない」とします。 これは「サロンに、常連さんが毎回5組も来てくれる」 「この5組の方にとっては、かけがえのない場所なんだ」 と考えることができます。
 つまり、ネガティブに考えるかポジティブに考える かは、皆さん次第なのです。最初のうちは、意識的に リフレーミングしてみると、今まで自分自身の短所だ と思っていたこと、課題だと思っていたことも、今ま で気が付かなかった長所として見えてくると思います。
 皆さんも、今かけているメガネを少し脇に置いて、 ポジティブに、自分自身や仲間のことを見てみてくだ さい。また、担当地区のことを見る際は、委員同士で お互いの地域を一緒に回って、違う視点の意見を聴い てみるのもよいかもしれません。




仲間とともに描く

 昨年の12 月に一斉改選があり、県内でも2,200 余名 の新任委員の方が委嘱されました。およそ半年が経過 し、説明会や研修会等の機会を通して、机上で学んだ 様々なものと、現実の活動とのギャップにとまどいや 不安を感じている方もいるかと思います。
 こうしたギャップを埋めるためには、研修会等で学 んだものを、自ら考えて地域での活動に役立てること と、そのための視点を持つことが大切です。ただ、こ れは一朝一夕にいくものでもありません。
 たしかに、担当地区を描いていくのは、委員一人ひ とりです。しかし、皆さんには一緒に考えてくれる仲 間がいます。先輩委員は、新任の頃、そうした不安や とまどいにどのように対応したのでしょうか? もしかしたら、今現在も不安やとまどいを抱えながら活動 を行っているのかもしれません。ただ、不安やとまどいと付き合っていく方法や、それに勝る活動のやりがいや楽しさ、喜びといったものを知っているから、現 在も活動を続けているのでしょう。一度、先輩委員に その方法や失敗談でも聴いてみてはどうでしょうか。
 先輩委員は、新たな仲間に寄り添い、話しやすい・ 活動しやすい環境づくりを心掛けてください。
 その時、泉さんに示していただいたリフレーミング や(下記の)加点法などを参考に、前向きに仲間と「つ ながる」ように話し合ってみてください。そして、担 当地区や住民と「つながる」ように、いろいろな視点 で見つめてみてください。

 「皆さんが自分自身や仲間の委員さん、また地域のこ とを、いつもとほんの少しだけ見方を変えて、ポジティ ブに考えてみることで、活動が、人との出会いが、もっ ともっと楽しくなると思います」



加点法 〜あなたの街と仲間のいいとこ探し〜

 日本人は、小学生時代からテストや部活動、その後の社会人経験を通して、何か事にあたる時には、100 点を満点とする「減点法」で進めていきます。 そして、できなかったところに注目し、課題を洗い 出し、100 点満点を目指して作業を行っていきます。
 もちろん、この方法の良さ・利点というのもあり ます。ただ、時として、課題(できない)探しは、メンタル面でとかく後ろ向きになってしまうことが あります。そこで、「加点法」という考え方です。
 昨年、小惑星探査機「はやぶさ」が小惑星イトカ ワに辿り着き、7年60 億キロという長旅の結果、サンプルを持ち帰ったというニュースは、皆さんの記 憶にも新しいことかと思います。
 このプロジェクトは、小惑星からサンプルを持ち帰るという世界初の試みで、ハイリスクハイリターンなものでした。JAXA(独立行政法人 宇宙航空研究 開発機構)教授で、はやぶさのプロジェクトマネージャーである川口氏は、このプロジェクトを行う当初から「減点法」ではなく、「加点法」による考え方 を採用したといいます。それは、エンジンが稼働し たら50 点、イトカワの観測ができたら250 点など、8項目に及ぶ達成度の基準を設け、100 点という上限の枠を定めずに、0をスタートに達成度を積み上 げていく考え方です。
 100 点満点のテストでは、どんなに頑張っても 100 点までしかいけません。もしかしたら、もっと才能や可能性があるかもしれない。そう考えると、減点法はその芽を摘んでしまうことになります。
 これが、加点法であれば青天井ですので、その芽 が出てくる可能性があります。そして、何より携わる人の気持ちを「次も頑張ろう」「今度はもっとこうしよう」と前向きにしてくれます。
 皆さんも、自分の担当地区の環境や地域資源について、「昔ながらのつながりがある」「こんな施設が ある」「こんなことをできる人がいる」といった加点法で再評価してみると、あらたな一面が見えてくる かもしれません。
 同様に、委員同士のつながりにおいても、加点法の視点で見つめてみると、「人づきあいが上手い人」「準備が得意な人」「責任感の強い人」など、様々な個性ある人材に溢れていることに気づけるはずです。 積極的に加点法を実践してみてください。加点法は、委員同士で話し合う機会を増やし、その距離を縮めてくれる一つの方法かもしれません。


【参考文献】

「はやぶさ」式思考法日本を復活させる24 の提言著書名:「はやぶさ」式思考法日本を復活させる24 の提言
著 者:川口 淳一郎
出 版:飛鳥新社
発売日:平成23 年2 月3日






合同会社泉惠造研修企画工房の概要


 今回お話を伺った合同会社泉惠造研修企画工房の概要です。

名称(会社名等) 合同会社泉惠造研修企画工房
取材対象 代表社員 泉惠造(いずみ けいぞう)
設立年月日 平成23年5月25日
主な事業内容 (1) 社会福祉事業施設および団体等における研修企画の立案助言および実施
(2) 社会福祉に関する人材育成のための、研修、指導および教育
(3) 社会福祉を目的とする事業に関する調査研究、指導ならびに総合的計画
(4) 研修事業に関する図書、雑誌、電子媒体等の出版刊行 等
所在地等 〒274-0816 千葉県船橋市芝山3-30-16-102
047-468-0135(FAXも同)
会社HP http://www.koboizumi.com/